美しい国

永瀬清子

 

はばかることなく思念(おもい)を

私らは語ってよいのですって。

美しいものを美しいと

私らはほめてよいのですって。

失ったものへの悲しみを

心のままに涙ながしてよいのですって。

 

   敵とよぶものはなくなりました。

   醜(しう)というものも恩人でした。

   私らは語りましょう語りましょう手をとりあって

   そしてよい事で心をみたしましょう。

 

ああ長い長い凍えでした。

涙も外へは出ませんでした。

心をだんだん暖めましょう

夕ぐれで星が一つづつみつかるやうに

感謝と云う言葉さへ

今やっとみつけました

 

   私をすなおにするために

   貴方のやさしいほほえみが要り

   貴方のためには私のが、

 

ああ夜ふけて空がだんだんにぎやかになるように

瞳はしずかにかがやきあいましょう

よい想いで空をみたしましょう

心のうちにきらめく星空をもちましょう

1948年(昭和232月)